過去問 葵祭に関する出題
今日は葵祭が行われました。それにちなんで、京都検定1級の過去問から「葵祭」に関する出題を見てみましょう。
第12回 1級
(31)葵祭に際して下鴨神社に神霊を迎える御蔭祭の途中、糺の森で神馬に乗った神霊に向かい東游の舞楽奉納などが行われる神事を何というか。
【解答】切芝神事
(32)葵祭において、賀茂両社の社頭で駿河歌などの歌を唱え、楽器を奏する役を勤める武官を何というか。
【解答】陪従
「ばいじゅう」ではなくて、「べいじゅう」と読むのですね。「ばいじゅう」でも間違いではなさそうですが、テキストブックでは「べいじゅう」とルビが振られています。
(33)平安時代以降勅祭となった葵祭は、室町時代後期と明治期に中絶している。明治4年(1871)の中絶後、明治17年(1884)に再興した人物は誰か。
【解答】岩倉具視
*第12回は「京都三代祭」が公開テーマでした。そのため、葵祭と時代祭についてそれぞれ3問、祇園祭について4問が出題されました。
第11回 1級
(41)下鴨神社で5月5日に行われる歩射神事で、屋越式や大的式などを奉納する流派は何か。
【解答】小笠原流
礼式の師範とされる小笠原流の宗家が行います。「屋越式」は楼門の屋根を超えて鏑矢を飛ばすもの、「大的式」は大きな的を射る神事です。
第10回 1級
(34)葵祭「路頭の儀」(行列)で、女人列の中心となる女性は何と呼ばれるか。
【解答】斎王代
第9回 1級
(31)5月12日深夜、葵をかざした宮司以下神職が神霊を迎える葵祭の神事は何か。
【解答】御阿礼(みあれ)神事
第5回 1級 記述式
葵祭について、150字以上200字以内の文章で書きなさい。
(上下賀茂社の正式名称、5月15日に行われる行列の名称、本列および女人列の中心人物は必ず含むこと)
第3回4 1級 穴埋め問題
京都の初夏を彩る葵祭は、上賀茂神社と下鴨神社の例祭で古くは賀茂祭という。祭儀に双葉葵を用いたことにより、江戸時代から葵祭と呼ばれるようになった。
応仁の乱後、中絶と再興を繰り返したが、明治になって右大臣( 31 )らの京都復興策の一つに位置づけられ、同17年(1884)に復興された。戦争による中断を経て、昭和28年(1953)に再興、31年からは斎王代を中心とした女人列が加えられた。
現在、5月15日の勅使や斎王代らの行列は、御所の( 32 )前を出発し、河原町通を北上して下鴨神社に向かう。神社に到着すると、勅使の御祭文の奉納、東游舞の奉納など( 33 )の儀が神前で行われる。
【解答】(31)岩倉具視 (32)建礼門 (33)社頭
今回は1級の出題だけ取り上げました。かなり細かい内容もありますが、いずれも公式テキストブックに載っている内容から出題されています。
京都検定の公式テキストブック
京都検定(正式には、「京都・観光文化検定試験」)に備えるために、公式テキストブックが発行されています。
実施要項では、
3級:公式テキストの中から90%以上を出題
2級:公式テキストの中から70%以上を出題
ということになっていますので、京都検定を目指すには必ず手に入れておかないといけない資料です。
この公式テキストは、現在のところ2016年に発行された「新版」が最新のものとなっています。
これまでに出たテキストを整理しておきます。
- 初版:2004年刊行
- 改訂版:2005年刊行
*初版には誤りが非常に多かったという話ですが、初版の翌年に改訂版が出されているところを見ると、そのことを裏付けているようですね。私はその当時の話題は存じませんが。
- 増補版:2010年刊行 A5版 334ページ
- 新版:2016年刊行 A5版 392ページ
この間、例えば祇園祭の山鉾巡行が前祭と後祭の2回実施されるようになった(2013年から)ように、テキストの内容にいろいろな変更点が出てきたために新版が発行されることになったようです。
ページも、「新版」は「増補版」と比較して17%ほど増えていますので、かなりの内容の充実が図られています。単純に言うと、「出題される項目が増えた」ということでもありますが。
Amazonでは、なぜか増補版もまだ手に入るようです。これから試験に挑戦するには、「新版」を参照するわけですから、間違って「増補版」を購入しないように気をつけないといけません。
京都検定の「公開テーマ」
京都検定では、毎年事前に「公開テーマ」が発表され、そのテーマに沿った問題が各級10問ずつ出題されます。
このしくみは2013年の第10回から導入されました。
京都検定見直し、「公開テーマ問題」を設定(観光経済新聞 2013年8月3日)
この記事によると、
京都検定の人気が少し落ち着いてきたため、「公開テーマ」を設けることで受験者の裾野を広げたい、という狙いがあったとのことです。
第10回(2013年実施)
1級 京都と映画
2級 京都“大原・八瀬・比叡山”
3級 京都“花の名所”
第11回(2014年実施)
1級 世界文化遺産「古都京都の文化財」
2級 京の食文化
3級 伏見・宇治
第12回(2015年実施)
1級 京都の三大祭
2級 琳派
3級 洛西:嵐山・嵯峨野・乙訓
第13回(2016年実施)
1級 京の七口と街道
2級 山科・小野・醍醐
3級 京のおみやげ
第14回(2017年実施)
1級 京都の塔
2級 京都 茶の文化
3級 京都駅界隈
第15回(2018年実施)
1級 京都御苑と御所・離宮
2級 明治150年
3級 きぬかけの路
第16回(2019年実施予定)
1級 千本通
2級 京都の産業~伝統工芸から先端産業~
3級 夏の京都
http://www.kyotokentei.ne.jp/pdf/theme_16.pdf
1級の試験は概ね60問出題されますが、公開テーマに沿った出題は10問ということですので、このテーマにまつわる出題の割合は結構高いといえます。ここをしっかり勉強しておくことは、合格に近づくためには絶対必要、ということになるでしょう。
京都検定の合格率はどれぐらいなのか?
まずは「敵を知る」ということで、これまでの京都検定1級の合格率の推移をプロットしてみた。
*第1回は1級の試験はなし。
- 偶数回が難しい。合格率が5%を下回ることが多い。
- 特に第12回、第14回は2%程度と、極めて低くなっている。
- 奇数回は(第11回を除いて)10%を上回ることが多くなっている。
偶数回と奇数回の差が極端に大きいのはかねてから指摘されているとおりです。通常、資格試験や検定試験においては、合格率の差が各回でそれほど大きくならないようにされることが多いと思いますが、これだけ差が顕著だと、わざとやっているのでは?とも思ってしまいます。
ともあれ、この傾向が続くようだと今年(令和元年)実施される第16回試験は
合格率5%未満
となることが予想されます。気合を入れないといけませんね。
また、1級と2級、3級で合格率に違いが見られるかどうか比較してみました。
第9回より以前は各級の合格率は同じ傾向になっている(例えば、1級の合格率が低ければ2級・3級のそれも低い)ように見えます。しかし、それ以降は・・・はっきりとした傾向は見られないようです。第15回がどの級も合格率が高かった、というぐらいでしょうか。